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再定着する

近所のイオンモールに行くと、
どこかからクチナシの香りがしてきた。

春っぽい香りだなーとクンクンしていると、
隣にいた画伯が「ステーキ屋の匂いしかしない」と言った。
夕飯前で飢えているのだ。


W氏のプリントを手伝う前に、
工場で撮ったフィルムを現像した。
フィルムはT-MAX100。

乾いたネガを見ると、
どこかおかしい部分があった。

フィルムの端についている小さな穴
(パーフォレーション)の周りにムラがある。
それにネガの色が嫌にピンクっぽい。

理由はすぐにわかった。
ああ、ぼくはまたやってしまったのか。
過去に一度やらかしたことをまた。

これは定着不足だ。
定着液が古くなっていたのだ。

定着液は現像液と違って複数回使うことができる。
そのかわり使える回数をしっかり覚えておかないといけない。

今回現像をするときなんとなくその予感はあった。
これで24本目だっけ?30本目だっけ?と
何本現像したかがわからなくなっていた。

なのにそのとき思ってしまった。
まあ大丈夫だろう、と。

こう思ったときは大概よくないことが起きる。
映画でもよくある展開だ。

さすがにプリントしたいネガだったので、
定着液を新たに作り、再定着を試みる。

以前W氏には「再定着は水滴ムラがでるぞー、傷がつくぞー」と脅されていた。
しかしそれでもやらねばなるまい、という気持ちだったので
汚れを恐れず再定着を行うことにした。

まず小さなバットを用意し、
そこに定着液をボトルから移す。
その中にネガを入れて、チャプチャプと揺らす。
約20℃の液に浸して揺らすこと3分。
ネガに残っていたピンク色が消えてきた。

すぐさま水洗のために用意した水に沈めた。
ここで10分以上放置する。

問題は乾燥だった。
ぼくは定着不足に気づかず、
すでにネガケースに入れるために
ネガを切ってしまっていた。

ネガを切ってしまっていると何が困るのか。

通常ネガはどこかに吊るして乾かす。
ネガを吊るすために、余白の部分に専用のクリップをつける。

しかし切ってしまった今となっては余白の部分がない。
写っている部分にクリップがあたったら傷がついてしまう。
つまりクリップをつける部分がない。
これが本当に困った。

いろいろ考えた結果、
端にある小さな穴のところになんとか
クリップを少しだけはさみ、乾かすことにした。

なんとか再定着したネガの表面にはW氏の言うとおり
埃と細かい擦り傷が結構ついてしまっていた。
フィルムの現像のときは極力ネガを触らないほうがいいに決まっている。
それを何度も触ってしまったのがだから無理もない。

定着不足は定着液の疲労具合を考えておけば防げるミスだ。

再定着という作業はできることなら二度とやりたくないので、
決めた回数を使ったら新しい定着液に換えようと心に決めた。

定着液をケチってはいいネガは作れない。
かえって面倒が増えるだけなのだった。

214.jpg
ベタを作って初めて定着不足に気付きました

プロフィール

Author:Daigo IZUMI /泉大悟
Photographer. 
モノクローム写真が好きです。

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