記事一覧

朝はミルクティーを飲む

夏至が近づいている。19時でもまだ明るい。

イギリスに行ってきた。滞在期間は二週間。ロンドンを中心に、コッツウォルズ地方の村をいくつか回ってきた。

イギリスの印象はとてもよかった。なにせ涼しい。近頃夏の暑さが苦手になっているので、ひんやりとして寒いくらいの気候はありがたかった。毎日色々な場所を歩き回ったが、額から一滴の汗もたれることはなかった。涼しさに加えて乾燥もしているので、とにかく汗が出ない。スーツを着ていても快適なわけだとつくづく思った。

しかし出発前はこんなに冷えるものだとは思っていなかった。個展に来てくれた生粋のイギリス人Aさんに「毎回なめて帰って後悔する」と言われなければきっと薄着しか持っていかず、寒さに震えて風邪でもひいて、数日寝込んで旅行の魅力は大幅に削られてしまっていただろう。イギリス人が寒いと言っているのに、それでも初夏に向けて気温がグングンあがりつつあった5月の日本ではそれを想像するのがどうにも難しく、さすがにウールのジャケットじゃあ暑いだろとか考えてしまい、つい薄着で行こうとしてしまうのだった。

イメージが湧かないのなら映像でチェックしようとTVのニュースでロンドンからの中継があったとき、リポーターの背後を歩く人々の服装をチェックしてみた。するとTシャツの人もいればダウンジャケットの人もいる。どんな気候なんだロンドンは。これでは参考にならない。仕方ないのでインスタグラムでも調べてみた。#bigbenとか#trafalgarsquareとか入れると記念写真がいっぱい出てくる。リアルタイムで現地の人達の服装をチェックしてみたのだが、これまたTシャツの人もいれば、革ジャンを着ている人が獅子にまたがってポーズしていたりしてさっぱりあてにならなかった。見れば見るほどわけがわからなくなっていった。イギリスは寒いのか寒くないのか。

気温は8-20℃と出ている。幅が広い。8℃は寒いし20℃は暖かい。どっちなんだ。ともかく寒くて困るのは嫌なので、8℃、つまり3月~4月くらいだろうと考えて、秋冬に着るウールジャケットを引っ張りだしてスーツケースに入れることにした。画伯はキルティングジャケットを忍ばせた。まあ暖かければ着なければいいのだし。一応保険として持っていくけど、きみらの出番はあまりないだろうよ、という感じで現地に向かった。

結果、イギリスは予想よりも寒かった。出番がないどころかほぼ毎日ウールのジャケットとキルティングジャケットが出動した。これがなかったら結構危なかった。イギリスの気候をなめていかなかったおかげで、適切な温度調整をしながら快適な旅行をすることができた。Aさん様々だ。

実際に街行く人の姿を見てみると、事前に見た通りTシャツの人もいればダウンジャケットの人もいるのだった。特に観光地では様々な国の人が集まるので多分みな体感温度が違うのだろう。それぞれが心地いいと感じる服を着ているように見えた。特に白人は日光を浴びたがるのか薄着の傾向が強かった。ソフトクリームまで食べている。日本にいるとき、ぼくがインスタグラムの写真でチェックすべきだったのは白人の服装ではなく東洋人の服装だったのだ。そこを見ておけばここまで惑わされなかったのかもしれない。

日本に帰ってくると梅雨入りしていて蒸し暑かった。おまけに時差ボケがひどい。素直に涼しかったイギリスが懐かしく、恋しく感じた。まだ見ていない美術館やギャラリーもたくさんある。できればすぐにでも行きたいくらいだ。ぼく自身はイギリスにかぶれてしまったつもりはないのだが、帰国後に「日本は湿度が高いね」とか「イギリスの時差ボケはきついね」などと言っていたらこいつかぶれやがってと思うだろう。実感はないのだが、朝ミルクティーを飲んでいる時点でぼくは結構かぶれてしまっているのかもしれない。ああ日本の空は青すぎる。灰色の空が懐かしい。


victoria.jpg
ある日のヴィクトリア駅。人種も服装も様々。

プロフィール

Author:Daigo IZUMI /泉大悟
Photographer.

Website
http://www.dizumi.com/
Instagram
izumi_daigo/

ブログ内検索

月別アーカイブ