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DP2Qを借りる

手袋をしないで歩けるくらいの寒さ。3月並だとか。

昨年末、恒例のW氏の事務所と暗室の大掃除を手伝ってきた。そのときカメラを一台借りた。シグマの「DP2Quattro(クアトロ)」というカメラだ。周囲のユーザーからこのDPシリーズの噂は聞いていた。

電池の消耗が激しいこと。電池が二つついていること。データの書き込みに時間がかかること。ホワイトバランスが怪しいこと。高感度が弱いこと。しかし写りはとにかく素晴らしいということ。色々な意見を耳にしたが、まとめると「よく写るけど不便」「でもそこがいい」という感じの印象だった。

このカメラは変な形をしている。レンズは小ぶりの湯のみくらいの大きさで、それがかまぼこの板にくっついているような形。かまぼこ板の右端にはグリップがあって手前にぐにゃりと曲がっている。実に個性的な形だ。年末年始、帰省するにあたりぼくはこの一風変わったカメラを持って行くことにした。

実際使ってみるとかなり楽しかった。モニターに写る画像を見るだけで、他のデジタルカメラと何かが違うのが伝わってきた。数枚撮った時点でぼくは密かに感激していた。

使い勝手も噂ほど悪くない。DP2Qは以前のDPシリーズに比べるとかなり使いやすくなっているのだろう。起動も早いし、操作もしやすい。モニターもよく見えるしオートフォーカスもちゃんと動く。首から下げていると重さはほとんど感じないし、電池も半日持った。

日頃感度400のモノクロフィルムとAFなし、背面モニターもちろんなしのフルマニュアルのカメラを使っているから、不便さを感じにくいだけかもしれない。もしフィルムがなくなってしまって、デジタルだけの環境になってしまったらこのカメラを使うんだろうなと漠然と思った。「そのときはよろしく」とぼくとDP2Qは秘密裏に握手を交わしていた。

箱根駅伝が行われる中、ぼくが黒いかまぼこ板と握手をしていると家族が聞いてきた。「電池が半日しか持たないのにいいカメラなの?」「他のカメラと何が違うの?」やれやれ、まったく無粋な質問だ。ぼくはDP2Q片手に自慢げに答える。

「詳しいことはわからないけど何かが違うからすごいです」

プロフィール

Author:泉大悟 Daigo IZUMI
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