記事一覧

インフルエンザにかかる

乾燥している。バライタの印画紙は乾くとスルメイカのように丸まっている。

去る1月のある日、朝起きると軽い咳が出た。午後になっても続くので、熱を測ると少し熱がある。2月の青梅マラソンに向けていつもよりほんの少し距離と回数を多めに走ったとたんだ。風邪の引きはじめかもしれないのでおとなしくしていようと思っていたら、夜熱が38.5℃まで上がった。

ぼくはあまり体が強い方ではないので、熱とか出るともうだめ。即気持ちで負ける。37℃超えようものならへなへなと力が抜けて床に伏してしまう。

そんな熱にきわめて弱いぼくが38.5℃まで熱が上がっていることに気がつかないなんておかしい。大体軽い咳だけで頭痛も喉の痛みも鼻水もないなんて。体温計がおかしくなったんじゃないか。その様子を見ていた画伯は見逃さなかった。

「(こいつ、インフルエンザだ)」

その夜からぼくは寝室に隔離されることになった。記憶を辿る限り、インフルエンザにかかった記憶はない。それはある日突然襲ってきた。そして数日間熱と痛みに悶えながらベッドでうだうだしていた。

インフルエンザA型は赤鬼のような筋骨隆々の大柄なやつだった(ように思えた)。シルバーのアクセサリーを首や指にじゃらじゃらつけていた(ように思えた)。彼は静かに暮らしていたぼくの部屋の扉を荒々しく蹴破って、ずかずかと室内に入ってきた。そしてぼくのソファの隣にどかっと座り、肩を組みながら片言の日本語で「これから五日ほどのパーティーを始めマス」と一方的に宣告をして朝から晩まで騒ぎ始めた。一日が過ぎ、体温を測ると39℃。新記録を更新したインフルエンザはますます盛り上がり、パーティーは最高潮だ。眠れないせいで疲れは溜まるし、腰や膝などの節々がぎしぎしと痛んだ。

そして発熱から丸三日ほど立った頃、インフルエンザはふと遠くを見つめ、蹴破ったドアからドカドカと足音を立てて消えていった。熱は徐々に下がって平熱に近づいた。部屋は荒れ果て、空き瓶や吸い殻やゴミが散乱していた。なんなんだあいつは。

インフルエンザはそんな感じでとにかく発症から四日ほどが本当に熱が高くてうんざりだった。熱が下がった後も節々は痛いし。

徹底した隔離を行ったおかげで幸い画伯にも伝染することはなく、なんとか部屋も片付き元通りに暮すことができるようになった。いや本当にインフルエンザは理不尽で超迷惑だ。何がしたいんだまったく。

インフルエンザが流行っているようですので、どうぞお気をつけ下さい。最低のパーティーに巻き込まれませんように。

プロフィール

Author:泉大悟 Daigo IZUMI
Website
http://www.dizumi.com/
Instagram
izumi_daigo/

月別アーカイブ