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絵をスキャンする

街のところどころで沈丁花の香りがする。

画伯の昔の絵をデータにすることになった。用途はウェブ用。原寸より絵を小さくして使用する。

我が家にはエプソンのA4サイズまでできるスキャナーがある。小さい絵であればスキャンすればいいのだが、困ったのは大きい絵だ。画伯は旅行中「F4」という大きさのスケッチブックに絵を描いている。これはB4より少し小さいサイズで、A4のスキャナーでは収まらない。

ではどうデータかすべきか。厳かな雰囲気の中、会議室(居間)で対策会議が2名により開かれた。その結果でてきた対策案は以下のとおり。

・A3スキャナーを持っている人に借りる
・コンビニの複合機でスキャンする
・複写する
・外注する

それなりの量をデータ化しなければならないこと、スキャンデータから複製画や印刷物を作るといったことではないのでそこまでの厳密さは求められないこと、外に絵を持ち出す手間とリスクは避けたいこと、複写の用意は面倒だといった意見が活発に飛び交い、いかにして楽をするかを検討した結果、ある程度効率を重視しつつ、自宅で作業できる方法を探るのがベストだという結論に達した。外注は仕事のときは使うがコストがかかるので今回は見送られた。

決定的な対策が出ないまま、時間だけが過ぎていった。しびれを切らした画伯は、「あとは君に一任する」と背中で語りながら会議室(居間)をあとにした。残された1名はとりあえず分割してスキャンして、フォトショップで合成してみませんか?という自分から出された意見に静かに頷き、作業に取り掛かることにした。

何はともあれスキャン開始だ。まずは色の確認から始める。絵とともにグレーカード(使ったのはこれ)をいっしょにプレビューし、グレーバランスを調整してから本番スキャンをするとうまく色が再現された。

色が整ったのを確認し、全体をスキャン。続いて切れてしまう部分を別途スキャンする。2~3枚の画像をフォトショップで開いて、マスクを使いながらくっつけてみる。しかしぼくのフォトショップの腕ではつなぎ目の部分がどうしても不自然になってしまう。それなりに時間を使って細かく作業してたのになんだよこれ、という出来だ。なかなかピチッとくっついてくれずもどかしい。それにこれを一枚一枚やっていたらいくら時間があっても足りない。やってらんない。

何か方法はないかなと調べていたら、Photoshopのパノラマ合成の機能に行き当たった。その名を「Photomerge(フォトマージ)」という。辞書によると”merge”は「併合する」とか「溶け合う」とかそんな意味だった。今まで使ったことがない機能だ。しかしこれが予想外の成果をあげた。

作業の手順はこんな感じ。
・フォトショップを開く
・「ファイル」>「自動処理」>「Photomerge」を選択する
・「ソースファイル」のところにある「参照」から合成する画像を選ぶ
・「OK」をクリックする
・勝手に合成されてできあがり

画面に画像が表示され、パソコンの内部で何か作業をしている。次の瞬間合成された画像がモニタにパッと現れた。その間多分10秒くらい。合成はあっという間に終わった。最初に合成が完了した時、「うわぁ」と声が出て椅子から立ち上がってしまった。

レイヤーのタブを見てみると指定した画像にマスクがかけられ、つなぎ目をうまく繋いでくれていた。この細いマスクの作業にさっきまで四苦八苦していたのに…。一体このアプリケーションの中はどうなっているのだろう?なんでこんなに繋ぎ目が自然になるのだろう?どういう計算が行われているんだろう?これを作った人は一体どんな頭脳を持った人なんだろう?驚きのあまりたくさんの疑問が頭の中を駆け巡った。そして素直に心から思った。すごいぜPhotoshop!ありがとうAdobe!会議室兼作業場(居間)に惜しみない拍手と歓喜の声がこだまする。

このPhotomergeのおかげでスキャンははかどり、多くの絵を効率良くデータ化することができた。今のところパノラマ写真を作る予定はないが、ちょっと試してみたくなる。何よりもまず今後もスキャンに大活躍すること間違いなしだ。もうPhotomergeなしでは大きな絵のスキャンは語れない。

できあがった画像を画伯に見せるとすごーいと言っていた。なんかぼくの感動と差がある気がするが、とりあえずAdobeはすごい会社です。


プロフィール

Author:泉大悟 Daigo IZUMI
Website
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