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外国から届くもの

一年のうちに数回しかなさそうな心地よい天気だったのでお昼に近所の中華料理屋でごはんを食べる。

スイスの写真家、RENÉ GROEBLI(ルネ・グローブリ)の写真集"DAS AUGE DER LIEBE"(英語だと"The Eyes of Love") 再発売の情報を目にした。名前と作品をすっかり忘れていたが、以前"RAIL MAGIC"というシリーズの写真をウェブ上で見ていたのを思い出した。

発行元はスイスの出版社STURM & DRANG。ウェブサイトをみると海外発送もしているようだったので注文してみた。スイスフランでのお買い物は初めてだ。

外国から物が届く。それはどこか特別な感じがする出来事だ。英語で書かれた宛名と送り元の名前、少し粗い手触りの封筒の質感、見慣れぬ梱包材、読めない消印の地名。封筒の中には品物とともに外国の空気が残っているような気がする。

まだ訪れたことのない遠い国から届いたという事実。封をされた場所と開封された場所の気温や湿度、匂いはどれくらい異なるのだろうか。どこのどんな人がこれを送ってくれたのだろうか。届いた荷物を見ているとそんなことを考えてしまう。

そういえば90年代の終わり頃、スウェーデンのワークウェアを作る会社にカタログを送ってもらったことがある。多分雑誌か何かで北欧の作業着が紹介されていたのを見たのだと思う。カラフルな色がかっこいいなーと思い、カタログを送ってもらえませんか?と連絡をしてみた。メールだったような気もするが、FAXで住所を送ったような気もする。

いずれにせよその会社、”FRISTADS”は遠く離れた極東の島のどこの誰かもわからない個人にカタログを無料で送ってきてくれた。まさか送ってくれるとは思わなかったのでとても嬉しかった。カタログの表紙はモノクロームの写真で、厚い雲に覆われた空の下、作業着を着た男性が一人湖を眺めながら道を歩いているものだった。日本と随分違うその風景は印象に残り、北欧という地域のイメージをぼくの中に作った。

もちろんカタログは今も本棚に残っている。今見てもこの写真の雰囲気は好きだ。ぼくはある日突然モノクロームの写真を好きになったのではない。モノクロームを好きになるきっかけがいろいろなところで少しずつ自身の中に積み重なっていったのだ。このカタログは間違いなくその積み重ねの一部になっている。

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プロフィール

Author:泉大悟 Daigo IZUMI
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