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期限切れのXTOL

最高気温28℃。夏の涼しい日は暗室日和。

前に知人から譲ってもらったコダックの現像液、「XTOL(エクストール)」を作ってみた。期限は2年ほど切れていたが粉はまだ固まっていないので普通に使えるだろうと予想していた。

いつもどおり4Lの水をバケツに用意して二種類の粉を順々に入れる。「A」と書かれた袋の中身を入れると水に色が着く。よーく攪拌した後「B」の袋を入れると色の着いた水が魔法のようにスーッと透明に変わる。ぼくはこの瞬間が結構好きだ。

が、スーッと色は変わったのだが微妙に色が残っている。どこか黄色っぽいような。水を足し5Lにして一応できあがり。改めて透明のビーカーに移してみるとやはり黄色く見える。蛍光灯のせいか?と思ったがはてどうだろう。これまで散々作ってきたエクストールの色だ。この色は何かおかしい。

「…これは…使っては…なりません…」
そんな天からのお告げのような声が頭の奥のほうから聞こえてくる。気がする。

現像液は劣化すると黄色っぽくなる。過去に印画紙用の現像液で経験したことだ。もちろん使ってみないと本当に劣化しているかはわからないが、犠牲になるフィルムはあいにくないし、その作業も面倒。

フィルムの現像は一度失敗したら取り返しがつかない。少しでもおかしいと思ったらその危険性は全力で排除する。そのルールに従い、作ったばかりの5Lの黄色っぽいエクストールはそのまま廃棄されることになった。使用期限があるものはやはり期限内に使うことが大切。当たり前の教訓だがまたひとつささやかな経験を積むことができた。

未現像のフィルムは我が暗室の中でかなり位が高い。「未現像フィルム様」と呼ぶべき存在だ。未現像フィルム様には最上の快適な環境を与えなければならない。事前準備然り。現像液の液温然り。いつも「お湯加減はいかがでしょうか」と常に確認しながら現像は行われる。期限切れのエクストールを用いるなんてもってのほかなのだ。


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プロフィール

Author:Daigo IZUMI /泉大悟
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