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フィルムとX線検査15 イタリア2019

2019年2月、モノクロフィルムを持って海外旅行に行ってきた。行先はイタリア。直行便ではなくドイツで乗り換えしていく。持って行ったフィルムはコダック「Tri-X」30本。これからフィルムをもって海外に行こうという方の参考になれば幸いです。

【準備】
事前の準備はいつも通りに行う。
・フィルムは必ず機内持ち込みする
・フィルムは紙箱からすべて出し、フィルムケースに入れたまま透明のジップロックに入れる
・X線防止用の袋などは使わない。中身が見えないと却って強いX線をあてられてしまうことも
・一度X線の検査を受けたフィルムは持っていかない(X線の影響は累積する)
・手荷物検査で検査機に通す前に「写真用フィルムです、ハンドチェックお願いします」と検査員に伝える
 英語では"This is a camera film, Could you hand check please?”などと伝えている
・機内持ち込みする荷物とは別にフィルムを入れるバッグも用意しておくと便利
 (ぼくは布のトートバッグを用意)

結果から言うと、行きの日本はOK、乗り換えのドイツデュッセルドルフ空港ではチェックなし。帰りのミラノはNG、乗り換えのドイツフランクフルト空港でもチェックはなかった。一回X線を浴びることになったが、現像の結果問題はなかった。

【行き1】成田空港
いつもお世話になっている成田空港。ハンドチェックをお願いします、と言うと嫌な顔一つせず対応してくれた。ボディチェックのゲートの横を通して奥にいる別の係の人に袋を手渡す。ボディチェックを終えたぼくは荷物を回収する。フィルムの方こちらへどうぞ、と呼ばれたので長机のところへ行く。荷物を受け取った人たちが周りを通り過ぎていく。フィルムケースを一本ずつあけてチェックする男性検査員。ぼくはチェックの終わったフィルムをジップロックに戻すのを手伝う。すべてのチェックを終えると「ご協力ありがとうございました」と言って持ち場に戻っていった。感謝するのはこちらの方だ。

【行き2】ドイツ デュッセルドルフ空港
初めてやってきたドイツ。ここで乗り換えてミラノへ向かう。手荷物検査があるのだろうな、と思っていたのだが入国審査を終えるとすぐに搭乗ゲートのあるところに着いた。なんてありがたい!乗り継ぎではチェックはないのが当たり前のことなのかもしれないが、その精神的な負担がなくなったというだけでドイツへの印象がよくなった。いつかドイツに行ってみたい。

【帰り1】イタリア ミラノ・マルペンサ空港
初めてやってきたマルペンサ空港。できるだけ人が少なそうな列を選んで並ぶ。周囲を見渡すと検査官はみな男性。どこかごつい人が多い。ぼくのチェックの番が来たので、丸暗記イタリア語でお願いする。「スクーズィ、ハンドチェック、ペルファボーレ」スクーズィはエクスキューズミー、ペルファボーレはプリーズだ。

男性検査員は袋を見て写真用のフィルムであることを認識する。すると「フィルムか、ASA(アーサ)はいくつだ?」と英語で聞いてきた。ASAはアメリカ標準規格のことだ。現在広く使われているISOは国際標準規格。どちらもフィルムの感度を表す言葉で、数値はISOと同じと考えてOK。最近日本では聞かないが、昔年配の人がASAと言っていたのを思い出す。

「ASAは400です」というと近くにいた別の男性に指示をした。さらにごつめのその男性はぼくを検査機の前に来るように言い、ここを見てごらんと指さした。そこには「ISO1600まで影響ありません」みたいなことが書かれたシールが貼られていた。つまり「通せ」だ。もちろんぼくは二つ返事で指示に従い検査機にフィルムを通した。逃げたのではない。検査の方々のお仕事を邪魔してはいけないのだ。

ボディチェックのゲートをくぐると最初にフィルムを渡した男性が話しかけてきた。
「きみ日本人?イタリアのどこいってきたの?」
ミラノとフィレンツェ、あと小さな町に行きましたと答えると
「いっぱい撮った?イタリアは美しいだろ、アリガト」
と陽気に肩をたたいてきた。さっきまでの険しい顔はどこにいったんだ。もうすぐ仕事終わりなのか。

【帰り2】ドイツ フランクフルト空港
乗り換えの時間が極端に短い上にフランクフルト空港は広大だと聞いていたので焦りながら飛行機を降りる。気持ち速足で乗り換えの場所を探しているとANA羽田行きのプレートを持ったスタッフの人の姿が。日本語の表記を見て安心する。手荷物検査もなく、無事日本へ向かう飛行機の搭乗ゲート前に到着。くたくただったが一安心。ユーロ圏は乗り換えのときは手荷物検査がないのだろうか。

疑りぶかくなってしまうのは以前バリ島に行ったとき、空港に入るときに一回、出国の時に一回、ジャカルタで乗り換えをするときにまた一回、と手荷物検査の試練に三度も出くわしたからだ。ハンドチェック?OKOK!と言いぼくをいったん安心させた後、うっかり(?)検査機に通してくれたあのスタッフの人の顔は忘れられない。

【結果】
現像をしたところ問題はなかった。ぼくは基本的にはハンドチェックはしてもらえないものだと考えている。してくれたらラッキーという姿勢。心構えは「期待しない、諦めない、ごねない」。粘ってもあまりいいことはないだろうし、それより没収されたり別室に呼ばれたり荷物の受け取りを忘れたり飛行機に乗り遅れたりする方が怖い。ちゃんと家に帰らないと現像すらできないではないか。

フィルムを持っていなければ空港でこうした体験をすることはない。手荷物検査場におけるやりとりは、フィルムを持っている人だけが味わうことができるちょっとしたイベントなのだと思う。

プロフィール

Author:泉大悟 Daigo IZUMI
Website
http://www.dizumi.com/
Instagram
izumi_daigo/

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