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蚤の市で古写真を探す

新年度、冬服が微妙に片付けられない肌寒さ。

海外旅行に出かけたとき、古い写真を探すのが好きだ。

ヨーロッパの蚤の市に行くと、よく古い写真やポストカードがごそっと箱に入って売られている。写真館できっちり撮影した写真や、どこかの家のアルバムから引っぺがしてきたような写真、観光地の風景を写したポストカード、記念写真として撮ったであろうスナップ写真などいろいろなものがまぜこぜになって売られている。

それらの古びた写真はどこかご隠居のような雰囲気がある。そこに写っている人も、それを懐かしむ人も、それを保管する人も恐らくもうこの世にはいない。記録という役目からほとんど解放された写真。「写真」と呼ばれる単なる一枚の紙になった写真。それらは今、蚤の市に並ぶ無数の品物とともに、箱の中に詰まっている。

なぜ蚤の市で古い写真を探してしまうのか。それは自分ではとても想像することができないようなイメージに出会う楽しみがあるからだ。思いもよらない風景や光景に出会う楽しみ。遠い昔の写真には、また遠い国の写真の中にはそういう成分が多く含まれていると思う。

蚤の市の写真は美術館や写真集のように、体系的にまとめられているわけではない。一枚の写真に関する情報はほとんどない。そのためどこか謎めいた雰囲気がある。思いもよらない、謎めいたイメージが手の中にパッと現れる楽しさは他にはあまりないかもしれない。

もちろん紙にプリントされた写真を実際に手にするという楽しさもある。普段目にする写真の多くは、印刷されたものやモニターに映っているものがほとんどだ。それを離れたところから見る。なんとなく見る。それが今の生活の写真との接し方になっている。紙に定着された写真を手で触ったり、じっくり見たりする機会はほとんどない。手の中に小さな写真が一枚ある、という状態は写真を見るのにはすごくいい距離感だと思う。

古い写真を見ているときの驚きや発見、遠くに行く感じ。それらが交互にやってきたり、混じり合ってやってきたりする楽しさ。それは自分で写真を撮っているときの楽しさと似ているかもしれない。よく見て、気づいて、何かを思う。その行為が好きなのだと思う。

ということできっとまた蚤の市を見かけたら、何か古い写真はないものかなと捜し歩くのだと思う。
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Author: 泉 大悟 / Daigo IZUMI
モノクローム写真を撮っています。

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