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整理整頓する


春野菜がおいしい。

家にいる時間が長い今日この頃。もともと外出するよりも家にいる時間が長い方だったけど、ここまでおおっぴらに思う存分家にいることができる日が来るとは。

かねてより気になっていた収納の整理を少しずつ行なう。クローゼットの中、押し入れの中、タンスの中。散らかりつつあることは薄々わかっていたが、まとまった時間がとれないことを理由に目を瞑ってきた場所がいくつかある。いよいよそれらを片すチャンスがやってきた。整理整頓や掃除は好きな方なので少々楽しみでもある。

押し入れの扉を開ける。そこには見慣れたいつもの光景広がっている。だがその奥の様子がわからない。何を置いたのかもうさっぱり覚えていない。「整理整頓は好き」なはずだったのに。

手前にあるものを取り出し奥地への道を切り開く。ダンボール、服、額縁、撮影機材、本、クリアファイル、確定申告の資料、旅行中に書いたノート。あっという間に部屋の足場が失われていく。

床に置かれたものを見ながらこれ一体どれくらいの重さがあるのだろう...と考えてしまう。家の体重が計測できるサービスがあったら利用してみたい。引っ越してきたときからどれくらい太ったのだろうか?

適切な体重を目指すべく、資料も服も本も不要なものは処分してすっきりしてきた。しかしどうしても処分することができないものが残っている。

それは写真のネガとプリントの入った箱だ。10年前、写真を学び始めた頃の、初々しいというかフレッシュというか、まあ言ってみればあまり振り返りたくはない過去の写真の数々がそこにはぎっちりと詰まっている。

ちらっとネガの箱を開けた途端、W氏の江古田の暗室に通っていた頃の記憶が蘇ってきた。悩ましくも楽しかった忘れがたいあの時間。

残しておいてもそうそう見返すことはないし、プリントすることもないのだからとっておく意味はあまりないのだが、処分するという選択肢だけは生まれない。なぜならそこは出発点であり、今としっかりがっちりとつながってしまっているからだ。

それは生まれ育った故郷の風景や幼少期の記憶のようなものなので、ないものとすることはできないし、なくしてしまうこともできない。だから残しておくしかない。厄介だが大切。大切だが厄介。

ネガもプリントもこの先年を重ねるたびに確実に増えていく。10年でこの量、さらに10年したら...と考えるとちょっと恐ろしい。

「おうちで過ごそう」が叫ばれる今、ぼくは前向きにその時間と向き合うべく、エプロンをかけ押し入れを掃除する。この行為はネガとプリントなど(それ以外に画伯の絵もある!)を残すためのかけがえのない一歩なのだ、と自らを奮い立たせ、クローゼットを整理整頓する。




プロフィール

Author: 泉 大悟 / Daigo IZUMI
モノクローム写真を撮っています。

Website
http://www.dizumi.com/
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izumi_daigo/

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