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小さな写真

毛布を干し、ダウンジャケットを洗濯機で洗う。

暗室でネガを見直していると、知り合いの顔が写ったコマがあった。

ぼくは日頃制作用にとカメラを持ち歩いている。日本にいるときも、旅行に行くときも、出かけるときはほぼ持ち歩いている。で、行く先々で見かけたものを撮影する。

気になるものはいつ現れるかわからないから、それがいつ来てもいいようにカメラをひとつ、フィルム一本をカバンの中に入れて持ち歩く。

そのカメラを使ってたまに家族や知人友人の記念写真を撮ることがある。

記念写真は撮ってもすぐにプリントしない。少し時間が経ってから、数年かそこら経ってからプリントしてみる。特に理由はないけど、そのときのことをすっかり忘れていたり、今の姿とちょっと違っているくらいの方が写真的には味がしみていて美味しいような気がする。

ああ懐かしいねぇとか、大きくなったなとか髪が長かったなとか、そういう些細なできごとをきっかけに、ちょっとした気持ちの動きが生まれる瞬間が好きなのかもしれない。進んでいく今の時間の中で少しだけ足をとめて振り返る瞬間。そういうきっかけを与えてくれるものをぼくは好むのかもしれない。

ネガをさらに見ていくと記念写真がもう何人分か見つかったので、これを機にプリントしてそれぞれに郵送することにした。

プリントサイズは小さめで。ポストカードとかL版サイズはまだ大きい。もっと小さくしたい。イメージは蚤の市とかで見かける古写真のような、手のひらに乗るくらいのミニサイズ。名刺くらいの大きさか。それくらいが好ましい。

いつも使っているラッキーの引き伸ばし機を一番低くしてみると、ちょうどそのくらいのサイズになった。

残っていたハガキくらいのサイズの印画紙を半分に切って小さな印画紙を作り、そこに露光をしていく。今までこんなに小さくプリントをしたことはなかったので新鮮で楽しい。

壁に飾るための大きめの記念写真もいいが、名刺サイズの小さな写真も悪くない。

蚤の市で古写真を漁っていると小さな記念写真をよく目にするが、その昔は写真が高価なものだっただろうから小さな写真は価格を抑えるための方法だったのだろう。

また写真は大きくすればするほど荒くなっていくから、小さい方が(ネガのサイズと近い方が)くっきりよく見えるよね、ということもありそう。しまう場所もとらないし、財布の中にも入れておけて肌身離さず持ち歩くこともできる。大きな写真のよさもあれば、小さな写真のよさもまたある。

そんなことを考えながら、これはこれでなかなかいいなぁ...と思いながら作業していた。最後に余った余白を数ミリ残してカッターで切って完成。封筒に入れて近所のポストから送り出した。実に一方的な自己満足。

日々前へ前へと進んでいく時間の中で、少し足をとめて過去を振り返る起点を自ら作っておく。記念写真、思い立ったら撮っておこう。




プロフィール

Author: 泉 大悟 / Daigo IZUMI
モノクローム写真を撮っています。

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