恍然大悟

一歩前進

Posted by 泉大悟/Daigo IZUMI on  

展覧会も折り返し。14時から19時までの5時間、ギャラリーの椅子に座っている。今週は6月4日(土)、5日(日)オープンです。


先週のよく晴れた日曜日の午後。W氏が夫婦で見にきてくれた。二人とも夏らしいストローハットをかぶっている。W氏こと渡部さとるさんはぼくが写真を習った人だ。ちょうど昨日まで中野のギャラリー冬青で展覧会をしていた。運営する「2B Channel」の効果でたくさんのお客さんが足を運んでくれたよと話しながら二人で写真を見ている。


ぼくが写真を習ったのは2009-2011年の間。勤めていた会社を辞め、当時江古田で行われていたワークショップ「2B」に参加した。その後無理を言ってアシスタントにしてもらい、写真を本格的に教えてもらえることになった。


雑居ビルにあった「2B」(2階のB号室)には事務所の他に暗室もあった。ぼくにとっての2Bは、この暗室の存在がとても大きい。ワークショップの暗室作業以外に渡部さんのプリント制作を手伝うことも多く、この暗室で過ごす時間は長かった。


セーフライトの赤い光の中で、渡部さんが引き伸ばし機に向かう後ろ姿を眺める。部屋の片隅に置いてある青い小さなラジカセからInterFMが流れてくる。はいっと露光した印画紙を手渡され、薬品の入ったバットで現像する。定着が終わり電気をつけると渡部さんは濡れた印画紙を手にしてじっと見つめる。そしてまた次の一枚にとりかかる。


そんな調子で午前から夕方まで、黙々と数日かけてプリントした。お昼はオリジン弁当、吉野家、モスなど。会話は多くないが、作品を作る様子を身近で見れたことはとても勉強になった。暗室は自由に使うことができたので、ぼくもその暗室でプリントを作った。時々見てもらうと大体「ふーん」という感じだった。


アシスタント期間が終わったあと、ぼくは家の近所に暗室を作りプリントをするようになった。2Bはビルの建て替えにともない終了。自宅で行う新ワークショップ「H」に移行した。思い出深い暗室もなくなった。


時間と共に環境は変わったが、渡部さんがぼくの写真を見る時の感じは当時のまま。「ふーん」といういつものあの感じ。時々ニヤニヤすることはあっても、いいとか悪いとかいうジャッジはない。ぼくはそんないつもの様子を椅子に座りながら横目で眺めていた。


しばらくすると「これはどうなってるの?」と一枚の写真について質問をしてきた。「オランダ、デルフト」「フェルメールの生まれた街」「市庁舎の時計が夜は光ってて...」と写っているものを説明する。すると夫婦二人で何やら短い会話をした後、ひとこと「これ買うよ」。思うところはあったが、ぼくもただ一言、ありがとうございますとだけ伝えた。2Bの日々から10年ちょっと。「ふーん」から一歩前進。




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泉大悟展

20225月14日〜6月12

Monochrome Gallery RAIN

東京都世田谷区池尻 3-6-9

展覧会期間中 土日 1419時オープン

monochromegalleryrain.com



[Exhibition in Tokyo Japan]


Daigo IZUMI  solo show

14 May  - 12 June  2022

Monochrome Gallery RAIN

3-6-9 Ikejiri, Setagaya, Tokyo, Japan

OPEN : Saturday & Sunday 2:00 PM – 7:00 PM (during the exhibition)



渡部さんの本

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